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『DROPS』
P12より
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ふいに掛けられた声に、菊丸は驚いて飛び起きた。
「屋上で昼寝なんて優雅だね」
人が勉強してる時に、と呆れたような声が落とされる。
肘を後ろについて上体を起こした菊丸を見下ろすように、そこには腕組みをした不二が立っていた。
風に泳ぐ薄茶色の髪が陽に透けて金色に光る。
胸が、ざわついた。
「聞いたよ。授業サボッたんだって?」
「んー」
見つけられてしまったバツの悪さと、醜い嫉妬がもたらす泥濘のような重さを誤魔化すように、菊丸は俯いて髪を掻きあげた。
「それで、」
そう呟きながら不二がすぐ隣へ腰を下ろす。その気配に菊丸の鼓動が早まった。
「こうして僕が入って来たのにも気づかないほど何を熱心に考えてたのさ」
授業までサボッて、と続ける。
言葉とは裏腹に窘める気配はなかった。
返事に困り、また不二の顔を見るのも躊躇われて菊丸は立てた膝に額を押し付けたまま、
「別に…ダルかっただけ」
ボソリと呟いた。
何か言われるかと思ったがそれきり不二は口を噤み、沈黙が流れる。
膝を抱えたままそっと隣を伺うと、空を見上げている不二の横顔が映った。
心持ち目を細めて見上げるその白い横顔がどこか頼りなく感じて、無意識に手が腕にかかる。
微かに驚いたようにこちらを見た不二と目が合った。ふわりと微笑まれて思わず頬に熱が上がってしまい、不貞腐れたようにゴロリと仰向けに寝転ぶ。
「よくここだってわかったじゃん」
「これでも結構探したんだけど?」
「嘘つけ」
ふふ、と肯定とも否定とも取れない笑い声が頭上で風に溶ける。
置かれたままの不二の教科書が心音に合わせたようにパラパラと音を立てた。
「僕が原因?」
前置き無しに不二の唇が静かにそう訊ねた。
横になったまま見上げると、風に舞った髪が彼の表情を隠す。
パラパラと、紙の音。
「…何でそう思うの?」
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