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『STAR LiGHTS』
P6より
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相手を確認するでもなくいきなり開かれたドアの向こうから顔を出した不二が、菊丸の姿を見て言葉を途中で飲み込み硬直した。
「ど…」
目を見張ったまま何かを言いかけた不二の口を慌てて手で塞いで、しー、と人指し指を唇に当てる。
「大きな声出したら人が来ちゃうよ?」
「……」
「中、入れて」
小声で告げてから返事を待たずに彼の躰ごと部屋の中へと押し入った。
後ろ手にドアのロックをしてから、塞いでいた手を離す。
「なんでキミがここに…!」
途端に押し殺した声を投げて寄越した不二の、焦りとも怒りとも取れる表情を見つめてニッと笑った。
淡い水色のジャージがよく似合っていて、ああ怒っていてもやっぱり可愛いなぁと呑気に思った。昼間着ていた白いジャージとはまた別物なので、おそらく部屋着用に持参したのだろう。普段自宅での彼は就寝時にはパジャマを着用しているので、これはこれで何だか新鮮だ。
「先生に会いに来たに決まってんでしょ」
「何言って…もう消灯時間とっくに過ぎてるじゃないか」
少しは喜んでくれるだろうと思っていたのに目の前の顔にはそのような甘い感情は全く感じられず、菊丸の唇から笑みが引く。
「いいから早く部屋に戻りなさい」
強い口調で言い捨てた不二が、菊丸を押し退けるようにしてドアのロックを外した。
しばらくぶりに二人きりになれたというのにあくまで教師の態度で通すつもりの不二に焦れて、菊丸は素早くロックを掛け直すとドアノブにかけられていた彼の手を少し乱暴に掴んで強く引き寄せた。
身長こそほとんど変わらないが、細身の割に筋力の発達した菊丸の方が力では上だ。簡単によろけた躰を抱き留め壁へと押し付けると、腕の中でハッと短く息を呑むのがわかって、じわりと腰元へ熱が滲んだ。
「帰らないよ」
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