SWEET SWEET MY ROOM





  ここのところ部屋に帰るのが楽しい。
 「…ああ、悪い。また今度な」
  ほら、こんなふうに飲み会の誘いまで断っちゃったりして。
  休みの前日だぜ?
  しかも可愛い女の子たちまで来るっていうのにさ。
  どうしちゃったんだよ、オレ。
  そりゃ碁を打つのは好きだけど。プロやってるくらいだしね。
  でもそんなの前からのことで、この数日の甘い気分の理由としてはちょっと弱いよな。
  …そうだよ、わかってるよ本当の理由くらい。
  海の向こうからやってきた、あのクソ真面目な同居人のせいだよ。
  一局打とうか、と言ったもんなら目ェキラキラさせちゃってさ。
  今夜は時間あるし…なんてついもったいぶって言っちゃうじゃねぇか。
  時間なんてあるに決まってんだろ。わざわざ遊びの予定全部キャンセルしてんだからさ。
  あ、何かオレって恋するショウネンっぽくない?
  でもさ、実際同じ部屋で生活すんのってなかなかツライとこもあるんだぜ。
  まったく伊角君のヤツはオレの気も知らないで平気で目の前で着替えたりしやがるしな。
  いや、そりゃ着替えるよな。他にどこで着替えろって言うんだ。
  男同士で恥ずかしいもクソもねぇはずなんだけど。
  でもさ、困るんだよ。つい見たくな…いやいや見てねーよ。本当だって。
 「とにかく、」
  ちょっと遅くなったが部屋に到着。
  さっき訓練室覗いたらいなかったから、きっと部屋で棋譜並べて勉強でもしてるんだろう。
  ──ガチャ。
 「ただいま〜」
  ん?
  ありゃ?
  テーブルに置かれた碁盤には一局打った跡。
  で、当のご本人とその対戦相手は…
  ベッドですやすやと眠っていやがる。
  伊角君と、小判ザメのようにぴったりくっついて眠ってるのは楽平だ。
  碁の打ちすぎで疲れたのかな。
  起こさないように足音をたてずにそっと近づいてみる。
 「……」
  クソォ〜楽平っっ!!
  おもくそ抱きついて眠っていやがるじゃねーか!!
  ガキの特権使いまくりやがって!!
  昼間ずっと独占してるくせになんてヤツだ!! オレなんてまだ指一本触れてないんだぜ!? 
 許せん、このクソガキっっ
  …まあでもなかなか麗しいっちゃあ麗しい光景だけどな。
  楽平もこうして無邪気に眠ってると結構カワイイじゃん。
  それに…うーん、やっぱ伊角君って睫毛長ぇな…。
  肌もキレイだし…ってうわ、これじゃエロオヤジじゃねーか、オレ。
  でもさ、この寝顔には絶対みんなマイるって。
  ちょっとだけ…
  そろそろと手を伸ばす。
  楽平の頭をなでるふりして伊角君の髪をなでちゃったりなんかして……げっ!?
  起きてんじゃん楽平〜!?
  タヌキ寝入りだったのか!?
  オレが伊角君に触ろうとしたとたん睨んできやがった。
  あっ、今これ見よがしに一層強く抱きつきやがったな!? このマセガキめっっ。
  く〜っっ、オレのこの苦悶をわからせてやりたいぜ。
  おぼえてろよ。
 「…ん」
  ドキリ。
  ちょっと伊角君。その声は反則だろ。心臓バクバクいいだしたじゃねぇか。
  あ、目ェ覚めたのかな?
  うっすらと目を開けた伊角君が彼にぴったりくっついてる楽平をぼんやりと見てる。
 「和谷…」
  え?
  ワヤ? それって確か…
  んん!?
  おいおいおいおいちょっと待ってくれ伊角君!!!
  何だよ、今の「すりすり」は!?
  あ、また寝ちゃった。寝ぼけてたのか。
  でもそれでも今のは。
  だって確かワヤって楽平にそっくりな伊角君の友達の名前だろ?
  男の。
  年下って言ってたけど3つくらいだったよな。それじゃ下って言っても楽平みたいなお子様で
 もないじゃん。
  それなのに…
  なんだったんだ今のは!?
  だって今確かに「ワヤ」って言いながら楽平の肩口に顔うずめてすりすりって…
  友達にするか、普通? しかも男だぜ。
 「……」
  ワヤといったいどういう関係なんだ、伊角君〜!?
 
  ワヤ…
  いつか日本に行ってワヤに会ったらとりあえず一発どついてやろう。
  うん、決めた。
  …おっとひとまず今は楽平のクソガキを引き剥がさなくちゃ。

  ──ああ、何だか今日も眠れなくなりそうな予感…。



  fin.



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楊海も楽平も大好きです〜v それにしても異常なハイテンションで書いたのですが…皆さん、引かないで〜(>_<)。16巻の伊角さんの可愛さに脳みそ沸騰してます〜。あ、そういえば一人称で書くの初めて…。

(2002.03.11)