<ここまでのあらすじ>
自分の気持ちもはっきりと定まらぬままに島崎と躯の関係を続ける準太。そんな準太にずっと想いを寄せてきた利央が、我慢できずに準太に告白。「島崎のことを好きでもいい、自分が幸せにする」と懇願されて準太は利央の手を取る決意をする。準太を抱いた利央は島崎の元へ行き、もう準太は自分のものだと宣言し…。
…たぶんそんな感じの流れだったかと…違うかも…(それにしても木花さん、改めて見るととんでもない話だよ!笑)

 




  どうするべきなのか、自分でもわからなかった。
  誰もいないロッカールームでのろのろと着替えながら、準太はそっとため息を漏らした。
  未だ中途半端な処に佇む自分が選んだあの行為が、利央を再び深く傷つけることになるのでは
 ないかと思うといたたまれない気分になった。心の底から嬉しそうに笑った利央の顔が頭の中を
 過っていく。
  トン、と突如後ろから肩越しに伸びてきた腕が目の前のロッカーに手の平をついたのを見て、
 準太の躯がビクリと震えた。
 「利央、よかった?」
  振り返るよりも早く、背後から耳元に落とされたその声に息を呑む。
 「慎吾さ…ん」
  茫然としたまま首を巡らせると、いつの間に入ってきていたのか薄い笑みを浮かべた島崎がす
 ぐ後ろに立っていた。
 「よかったかって訊いてんだけど?」
  ゆっくりとそう言いながら、ロッカーから離れた島崎の指が結びかけていた準太のネクタイを
 するりと解いて床に放った。
  島崎に、知られてしまった。
  いつかはわかることだと覚悟していたはずなのに、喉が塞がれたように声が出てこない。煩く
 鳴り響く心臓の音だけが、躯の中で木霊していた。
  目を見張ったままただ黙って見つめ返す準太に、島崎の笑みが深まる。
  体温を感じさせない、冷ややかな笑みだった。
 「…随分とまぁ、しっかりやられちゃって」
  滑るように動いた彼の指がシャツの襟元を開き、準太の肌に残っていた赤い痕を、つう、と撫
 でる。
 「…っ」
  慌ててその手を払いのけて逃げようとしたがすぐに捕らえられ、逆にロッカーに押し付けられ
 てしまった。
  冷たい手がシャツの裾から入り込んできて、肌を撫でる。
 「震えてんの? 準太?」
 「…やめっ…!」
 「へえ、やめてもらえると思ってんだ? 何ならさ、助けを呼んでみたっていいぜ? カギなら
 空いてるし」
 「慎…吾さん…」
  滲んできた涙を隠すように俯いた準太の顎に指がかかり、上向かされた。
  近付いた島崎の目が、すっと細まる。
 「…試しに利央の名前でも呼んでみたら?」
  薄く笑んでそう告げた彼の顔は、深く口付けられてすぐに見えなくなった。








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